今回は、お姉ちゃんと一緒に出掛けた先で、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世に一目惚れされてしまったヨーロッパ宮廷一の美貌の持ち主として有名だったエリザベート・アマーリエ・オイゲーニエ・フォン・ヴィッテルスバッハさんのお悩みよ。
長い名前だし、他に「エリザベートさん」もたくさんいるから、愛称の「シシィさん」と呼ぶわ。
参照:wikipedia
彼女は、
- プロポーションを維持するために宮殿に体操器具を作らせたり
- 放浪生活をしたり
- 旅先で無政府主義者に刺されて亡くなった
という話が有名よね。
ちなみに、当初皇帝のお妃候補だったシシィのお姉さんのヘレーネさんは、郵便侯爵として有名なトゥルン・ウント・タクシス家に嫁いだのよ。
トゥルン・ウント・タクシス家のお城はクリスマスマーケットで有名ね。
性格的に皇帝のお妃は合わずに苦しんだシシィさんと、予定が狂って郵便侯爵に嫁いだヘレーネ姉さん。
どちらが幸せだったのか・・・?
歴史は分からないものね。
シシィさんのグランタブロウ占い結果
それじゃぁ、早速シシィさんの占い結果を見てみましょう。
カードの配置はこうだったわ。
「淑女」のカードがシシィさん、「紳士」のカードが皇帝として見ているわ。
まず、8列×4段のカードの中に淑女のカードは無く、一番下の4枚のカードの中に淑女があることから、シシィさんは自分事とはとらえていない配置ね。
というか、自分に決定権はないからこの配置なのね。
彼女の未来も過去も見えない配置だから、仕切り直してもう一回カードを展開する方法もあるけれど・・・
状況は適切に示していたから、このまま頑張ってリーディングしたわ。
まずは最初の4枚のカード、「樹木」「塔」「ユリ」「花束」で、「ハプスブルク家」という大きな大きな偉大な家柄に嫁ぐのは喜ばしいコトであると伝えているわね。
けれど、この慶事は「花束」の横にある「紳士」、つまりフランツヨーゼフ1世にとっての慶事ね。
シシィさんの占いをしているのだけど、結局主導権を握っているのは皇帝だから、皇帝目線のような結果になってしまったのね。
カードからのメッセージこそが、彼女に最も伝えるべきことなのでしょうから、そこをリーディングしてみましょう。
一番下の段の「錨」「騎士」「淑女」「ハート」の4枚が、カードから伝えたいことね。
あらゆる状況はあれよあれよという間に進んでいくわ。
シシィが、
「ちょっと待って!」
と思っていたとしても、誰も待ってくれず、ずるずると引きずられるように物事は展開していってしまうようね。
「周囲の状況」と「シシィさんの心」は常に分断され、「こうしなきゃいけない状況」と「こうしたい心」の間で板挟みになるだろうとカードは伝えていたわ。
もう一つ、このカードたちから読み取れるのは、彼女は「海に関わるもので自分の心を取り戻す」とも読めたわ。
「錨」は言うまでもなく、船を港に繋ぎ止めるものね。
そして「騎士」の馬は、海を司る神ポセイドンを示すものでもあるわ。
だから、海に関わるもので「淑女」の「心」を取り戻せる、とか、繋ぎとめるとも読めたのね。
後に彼女は船での旅を好んだから、そういったことを指していたのかもしれないけれど・・・
正直、15歳のシシィを見ても、ここまではリーディングできなかったわ。
そういえば、32の場所に「星」のカードがあるけれど、これは多くの人に憧れの眼差しを向けられることを指しているわね。
そして10の場所に「熊」があるわね。
これは、決定権はいつもシシィさんではなく姑であり叔母のゾフィー様にある、ということを指しているわね。
実際、彼女の子供はゾフィー様に養育されているわ。
シシィさんは自分で育てたかったけれど、「宮廷のルール」ということで、ゾフィー様が養育することになってしまったのね。
正直、とっても読みにくいタブロウだったわ。
何せ本人であるシシィさんが、自分事として捉えていないんだもの…
判断がつかないことが多すぎて…
と、言うことで、ケルト十字もやったわ!
シシィさんのケルト十字占い結果
シシィさん本人が大きな決定権を持たない為なのか、グランタブロウではイマイチ見えてこなかった彼女の占い。
なので、ケルト十字も見てみたわよ。
結果はこう。
シシィさんの現状は、
「あまり色々考えたくない」
と言う感じ。
ケルト十字のキーカードとなる「障害」には「ペンタクル ペイジの逆位置」ね。
彼女はハプスブルク家に嫁げるような器ではない、あるいは能力がない、と読めるわ。
他にも、「考えがまとまらない」という読み方もあるわね。
考えたくない現状があるのだから、考えがまとまらないのは納得よね。
顕在事象として出ているのは「ペンタクル 9 (逆)」ね。
これは、目的は達成されているけれど、本人の望むものとは違う形であることを指しているわ。
この時代の貴族女性は、「より良い家柄の相手と結婚」することが目的だったわ。
本人の目標と言うよりは、親ね。
シシィさんの場合は、母親の意向が非常に強かったわ。
なので、ハプスブルク家に嫁ぐこと自体はある意味で目標達成とも言えるけれど、シシィさんの資質的に合わない可能性がある、ということね。
どうして資質的に合わないかと言うと、潜在事象に出ている「ワンドのナイト」が象徴しているわ。
彼女の持つアクティブさやエネルギーの高さが、ハプスブルク家と合わないのね。
そして彼女の本音は「ワンドの7」。
これは、もしかしたら
「お姉さんよりいい結婚ができた。私の美しさは認められている!」
という感じにも読めるし、相手がハプスブルク家では断ることもできない不利な状況だと感じている、とも読めるわね。
そして、この展開で唯一の大アルカナである「タワー(逆)」が出ている将来の気持ち。
ストレス
に尽きるわね。
メンタルがジワジワ崩れていくわ。
そして結果として「カップ10(逆)」になるわね。
周囲との距離が離れ、家族とのすれ違いで失望感を抱くことになるのね。
シシィさんの生い立ちと人生
美貌故に皇帝に一目惚れされてしまったヴィッテルスバッハ家傍系出身のシシィさん。
バイエルン王国のヴィッテルスバッハ公爵家は美男美女で有名な家系だったのよ。
そして、病的に何かに固執する性質も見られる家系だったようね。
シシィさんは「美しさ」に病的に固執したわね。
ヴィッテルスバッハ家でもう一人、特に有名なのは「ノイシュバンシュタイン城」を築城したバイエルン王 ルートヴィヒ2世ね。
彼も顔がいいわ。
彼は精神的に不安定で、あだ名が「狂王」だったわ。
ノイシュバンシュタイン城を見ると、彼が厨二病 ロマンチストだったのが良く分かるわよね。
さて、そんな名門の分家出身だったシシィさんは、ミュンヘンから30km程離れた田舎で自由で開放的な教育を受けて育ちました。
お父さんのバイエルン公マキシミリアン・ヨーゼフと一緒に町に遊びに行ったりもしていたようね。
自由にのんびりと育ったシシィさんがハプスブルク家に嫁げばどうなるか・・・?
皇室の伝統に縛られて、息苦しい思いをするのは目に見えていたわよね・・・
そして予定外に従兄弟の皇帝に一目惚れされて15歳で皇帝と婚約することになったの。
姑のゾフィー様は、彼女なりにシシィさんの事を心配していたのだけれど、焼け石に水というか、お互いの気持ちは思う様に通じ合わなかったようね。
そして、シシィさんは皇帝に愛人を用意したと言われているわ。
下手な女よりは、自分の生きのかかった女のほうがマシ、と言う感じかしら?
女優のカタリーナ・シュラットを皇帝にあてがい、シシィさんは旅をする生活をしていたのね。
シシィさんは暗殺されるまでの10年間を黒い服を着て過ごしたわ。
「美」に固執するのに、ファッションは黒一色?
って感じだけれど、それは息子である皇太子のルドルフが男爵令嬢マリー・ヴェツェラと心中したからよ。
このスキャンダルの理由は不明のままよ。
最近だと、なろう小説で
「公爵令嬢!私は男爵令嬢と真実の愛を見つけてしまったから、婚約を破棄する!」
みたいな話が流行だけれど、そんな感じのアレだったのか、それとも何かの陰謀だったのか・・・
そうして、彼女は10年後に暗殺されるわ。
最後の言葉は、
「いったい何が起こったの?」
だったそうよ。
シシィさんは、刺された後に転んだけれども立ち上がり、侍女と共にモントルーに戻る船に乗り込んだそうよ。
そしてその2時間後に亡くなったの。
そうそう、シシィさんは51歳の時に、肩に錨のタトゥーを彫ったそうよ。
他の皇室の人にとってはとってもビックリすることよね。
こういう所からも、彼女がいかに自分の生きていた環境と合わない質だったかが見え隠れするわね。
- 参考文献
須貝 典子.『美しき皇妃エリザベート: 美容からファッション、食事、フィットネスまで、その美の秘密 』.河出書房新社.2023
小宮 正安. 『エリザベートと黄昏のハプスブルク帝国 (姫君の世界史)』. 創元社. 2023
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