今日はエカチェリーナ2世(エカチェリーナ2世アレクセーエヴナ)が、
「明日、旦那(第7代皇帝ピョートル3世)から帝位を奪おう!」
というタイミングでの占いよ。
占いをした具体的な日は、1762年7月8日よ。
翌日7月9日に、彼女によるクーデターが起こったわ。
彼女もここまで大変だったのよ…
参照:wikipedia
今回は、先にここに至るまでの彼女の人生を見ておきましょう。
1729年5月2日生まれ。
ドイツに生まれて、キリスト教ルター派の洗礼を受けたわ。
2歳からはフランス人の家庭教師がついていたから、フランス語が堪能になったわ。
音楽は苦手だったみたいだけど、乗馬が上手で頭も切れる、魅力的な女性に育っていったのね。
そんな彼女が何故ロシアの皇太子妃候補になったか?と言うと、
彼女の母親のお兄さんが、ロシア女帝エリザヴェータ・ペトロヴナの若い頃の婚約者だった縁から来たお話だったみたいね。
彼女は14歳の時に、ロシア皇太子妃候補になったわ。
その後、彼女はロシアに移り、ロシア語やロシア正教、舞踏を習ったわ。
そしてロシア正教に改宗してエカチェリーナ・アレクセーエヴナと改名したの。
エカチェリーナ1世と同じ名前ね。
そうして、エリザヴェータの甥で母方の又従兄にも当たる皇太子のホルシュタイン公ピョートル・フョードロヴィッチ(ピョートル3世)と婚約して、1745年に結婚したわ。
だけどこの夫、あんまり賢くなかったのか、なんでもドイツ式に固執したから、周囲から浮いたでしょうねぇ。
反対に、エカチェリーナはロシア語を話し、ロシア正教に改宗して国内の貴族や国民に受け入れられる努力を惜しまなかったわ。
ここまで違うと、夫婦仲も最悪よね。
彼女は6回出産したけれど、そのすべてで父親はピョートル3世以外の男性とされているわ。
クーデターを起こした年なんて、4月22日に5人目の子供を出産しているんだけど「秘密出産」なんて聞きなれない出産をしているのよ!
ピュートル3世を火事で陽動しての極秘出産だったそうよ。
いやいや・・・
もう、色々突っ込みどころが多いけど、妊娠期間に気付かない夫、出産後も気付かない夫・・・
どうですの・・・?
とは言え、今回の出産はピョートル3世に「絶対に覚えがない」という状況で、何とか誤魔化すしかなかったようね。
クーデターを起こす年に、多くの人が見ている場でピョートル3世はエカチェリーナをバカ呼ばわりしたわ。
ピョートル3世という人は、かんしゃく持ちで病弱、危機的な財政状態を抱えていたロシアを統治する人物としては、その能力に疑問が持たれていたの。
そんな人物に「バカ呼ばわり」されたら、普通に腹が立つわよね。
頭の切れるエカチェリーナは、
「バカはお前だろ。」
って、絶対キレてたと思うわ!
そして彼女はクーデターを決意するの。
さぁ、そんな冷え切った夫婦関係とおバカな夫を切り捨てるべく、近衛連隊を引き連れて、
我こそが皇帝に!
というタイミングでの占いね。
見ていくわよ!
エカチェリーナ2世のクーデターはうまく行くのか!?
さっそく、エカチェリーナ2世のクーデターの成否と、その後を占った結果を見ていきましょう。
グランタブロウ占いの結果
まずはグランタブロウの結果を見てみましょう!
エカチェリーナ2世を示す「淑女」のカードは一番上の段の左から3番目。
彼女のカードが一番上の段にあることからして、彼女が自分の人生を自分でコントロールしている感じがするわよね。
そして彼女の左隣には「犬」のカード。
犬のカードは信頼できる仲間やパートナーを指しているわ。
これはもう、今回の革命を一緒に進めてくれる仲間たちと、当時のパートナーの近衛軍将校グリゴリー・オルロフ公爵のことね!
グリゴリー・オルロフ公爵は、エカチェリーナ2世の4番目と5番目の子供の父親とされている人物ね。
今回の革命を進めるにあたって、重要な人物たちとは信頼関係がしっかりしていることを示しているわ。
淑女のカードの下、足元には「ハート」のカードがあるわね。
このラッキーカードが足元に出るなんて、強いわ。
もうこのカードの並びで明日のクーデターは成功すると言えるわ。
カードはクーデターの先も出ているので、この辺も見ていきましょう!
クーデターのその後は?
クーデターのその後を読んでいきましょう。
淑女のカードの右横にあるのは、塔と棺ね。
クーデターの成功によって、彼女の不遇な状況は終わりを告げると読めるわね。
クーデターの時には、彼女の周辺には彼女に忠誠を誓う者も多かったのだけど、皇太子妃時代の彼女は不遇と言わるわ。
精神的・肉体的にも幼稚な夫、そのためになかなか子が出来ず、しまいには姑(エリザベータ)から愛人を勧められる…
1人目の子供を産んだ直後は、子供を触れることもできず姑に取り上げられ、しかも出産直後に一人打ち捨てられて…
彼女のロシアに来てからの不遇は挙げればキリがないわ。
カードの並びから、そういったものごとの全てが終わりを告げる、と読めるわね。
そして一番上の段の右の3枚は「クローバー」と「月」と「魚」。
これは、彼女の政権がバランスの取れた安定したものとなることを指すわね。
通常、「月」と「魚」の組み合わせでクリエイティブや創造性の発揮を指すのだけれど、これは彼女の進めた啓蒙思想を中心とした政治の事を指しているわ。
彼女は現代では啓蒙専制君主と呼ばれているわね。
それは、理性にもとづいて合理的な改革を進める君主の事を指しているわ。
学芸の保護、教育改革・法治主義などの改革を積極的に進めていったわ。
頭のいい彼女らしい政策よね。
クーデター後のエカチェリーナ2世へのメッセージ
最期に、カードからのメッセージは一番下の4枚、「クマ」「本」「太陽」「指輪」ね。
「クマ」と「本」のカードで知性に重きを置いた政治を指しているわね。
この政治は成功が約束されているわ。
周囲の人たちとの信頼関係を大切にしてね!
となるわね。
まとめ
今回はエカチェリーナ2世のクーデター前夜の占いを見てみたわ。
彼女の人生の前半部分は、エリザヴェータさんに振り回されているわね…
エリザヴェータさんと言えば、マリー・アントワネットさんのお母さんのマリア・テレジアとフランスの公妾ポンパドゥール侯爵夫人と同盟を組んで、プロイセンのフリードリヒ2世を封じ込める作戦を実行していたわね。
けれど、話の途中でエリザヴェータさんが急逝しちゃって、プロイセン好きのピョートル3世が帝位に着いちゃったもんだから、話が変わってきちゃったというワケね。
ところで、エカチェリーナ2世が皇太子妃に選ばれた理由は、なんと!!
「たいして美人じゃないから。」
よ!!
まぁ!ちょっと失礼しちゃうわよね!
皇太子妃を選ぶ立場にあったエリザヴェータさん、美人が嫌いだったから・・・(;´Д`)
そして色々な面で幼稚だった夫のピョートル3世のせいで妊娠に至ることが無く、エリザヴェータさんたちから愛人を勧められてしまうわね。
この愛人は、もちろんエリザヴェータさんが選定した、彼女の血縁よ。
だから、ぶっちゃけ愛人の子だろうとピョートル3世の子だろうと、エリザヴェータさんにとってはどっちでも良かったのよ。
エリザヴェータさん・・・ちょっと引くわ・・・
さぁ、クーデターの後の夫ピョートル3世はどうなったかと言うと、
持病の痔が悪化して死亡した
と公表されたわ。
いや、ちょっと、エカちゃん。(笑)
痔って死ねるの!?
って思うけど、実際は狩猟パーティーで暗殺されたと言われているわね。
エカちゃんは旦那の事、めっちゃ嫌いだったんだろうなぁ・・・
エカチェリーナ2世は死後、息子パーヴェル大公によって、嫌いな旦那と合同葬儀をされる羽目になるわ。
パーヴェル大公は奇行で有名だったのだけれども、ここでも奇行が見られるわ。
エカチェリーナ2世が亡くなった後、わざわざピョートル3世の棺を掘り起こしてきたのよ!
パーヴェルとエカチェリーナ2世は仲が悪かったのよね。
ちょっとした復讐の気持ちがあったのかしらね・・・
やることがおそロシアだわ・・・
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参考書籍
- 河島みどり. ロマノフの徒花 ピョートル二世の妃エカチェリーナ. 草思社. 2011
- ジャン=クリストフ・ビュイッソン (著), ジャン・セヴィリア (著), 神田 順子 (翻訳), 土居 佳代子 (翻訳). 王妃たちの最後の日々・下. 原書房. 2017
- 小野 理子. 女帝のロシア. 岩波新書. 1994
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