今日は暗殺の天使、シャルロット・コルデさんの占いよ。
彼女はフランス革命のの時代に「人民の友」と呼ばれたマラーを単独で暗殺した女性よ。
参照:wikipedia
彼女に会ったのは1793年の7月8日の事だったわ。
フランスのカーンという都市でのことだったわ。
「明日、パリに行くから占ってよ!」
みたいな感じで占うことになったのよ。
この時期、パリはフランス革命の真っただ中よ。
もちろん、革命の影響はパリだけではなくフランス全土に及んでいたわ。
カーンもフランス革命の影響を強く受けていた、そんな都市のひとつだったわ。
彼女が何をしにパリへ行ったのかを知ったのは後になってからだったわ。
彼女、誰にも目的を言わずにパリに行ったんだものね。
誰か言っていたら、その誰かは彼女を説得できたかしら?
止められたかしら?
・・・無理だったでしょうね・・・
彼女の人となりや育った環境は後に語るとして、まずは、
明日、マラーを暗殺するためにパリへ向かう彼女を占った結果
から、見ていきましょう。
目次
シャルロット・コルデさんの占い結果
それでは早速、
明日パリへ向かう乗合馬車に乗る予定のシャルロット・コルデーさんの占い結果を見てみましょう。
グランタブロウの結果
まずは、グランタブロウの結果を見てみましょう。
こんな感じの結果だったわ。
何となくだけど、彼女を見ていると、彼女を示す「淑女」のカードは一番最初か、一番右下に出るんじゃないかと思っていたら、ドンピシャだったわ。
「淑女」のカードは一番右下に出ていたわ。
一番最初に「淑女」のカードが出ていれば、
「自分軸があって、それをいい意味で信じている、体現している。」
みたいな印象になるかと思ったのよ。
けれど、実際には一番右下に出てしまったわ。
これは、
「自分にはどうしようもできないことしかない割に、変に自分を妄信してて、その妄想じみた自信が自分の軸になってしまっている。」
という印象ね。
しかも未来を全く見ていないわ。
自分の中でできあがった真実しか見ていない、現実を見ていないとも読める配置だわ。
私としては、「こんな危うい子が革命最中のパリに行って大丈夫かしら・・・?この子、本当に何しに行くの?」という感じよ。
彼女のタブロウ(絵)を留める四隅のカードは、「棺」「淑女」「鞭」「魚」ね。
「棺」のカードは「中断」や「停滞」の他に、「完了」という意味もあるわ。
「鞭」や「魚」はキリストや神を象徴するカードでもあるわね。
どうしてこんなカードが出るのかイマイチ分からなかったけれど、リーディングするなら、
「彼女が何かを成し得たなら、それは神の思し召し」
という感じかしら・・・?
と、思ったんだけど、コレは彼女には伝えなかったわ。
なんか伝えたら危うい感じがしたから。
そして「淑女」の目線の先、左側にあるのは「塔」のカードね。
彼女が一心に見つめていたのは何かしら?
「塔」は政治や権威を示すカードね。
政治に強い関心があったと見れるわね。
この時代なら、革命に関心を持っていたということね。
そして「塔」の隣には「子供」のカード。
これは、彼女の持つ「隠された幼稚さ」を示すわね。
この幼稚さは、後々多くの人を巻き込んでいくわ。
その辺はもうちょっと後に語るとして、占いの続きを見ていきましょう。
「淑女」の上には「クローバー」のカードね。
「幸運に恵まれている」とも読めるけれど、彼女を前にすると、どうも「頭の中がお花畑」という印象に近いわね。
しかも「クローバー」の左にはラッキーカードの「月」だわ。
幸運に幸運を重ね掛けだわ!
ただし、この配置は「自分の努力の末の幸運ではない」ということね。
彼女の未来が見えないけれど、先ほど挙げた「タブロウの四隅のカード」と合わせるなら、
彼女が成し得たいことは、彼女の力ではなく幸運で以て成し遂げられる
ということになるわね。
うぅ~~ん・・・
読みにくいわね・・・
最後に、一番下の4枚が示すカードからのメッセージは、「鎌」「十字架」「樹」「雲」ね。
これは、彼女が払おうとしている犠牲は、さらなる混乱を助長すると言っているわ。
これで、彼女が何をしようとしているか、概ね把握できたけど、私には何も言えなかったわ。
彼女の眼は現実を見ていなかったし、人の話を聞くタイプでもなさそうだったから。。。
シャルロット・コルデの生い立ちと人となり
さぁ。それじゃ、占いを離れて彼女の生い立ちと人となりを見てみましょうか。
彼女は、古い起源をもつノルマンディー地方の下級貴族の血を引く家系の娘として生まれたわ。
具体的には、三大古典詩人の一人・コルネイユの子孫にあたる血統よ。
一応貴族ではあったけれど、父親は長男ではなかったために裕福ではなく、父親が自ら農作業をしているような、そんな普通の農家と同程度の経済状況だったわ。
シャルロット・コルデーという人間は、貧しい生活をしていたが故に、自分が社会的には上位の階層に属している自覚のないまま、けれど持っている意識は貴族そのものというアンバランスなメンタルを抱いて育ったわ。
彼女が13歳のとき母親が亡くなり、一人で子供たちを育てられないと判断した父親が彼女と彼女の妹をカーンの修道院へ入れたわ。
当時、貴族の子女が修道院へ入り教育(と言っても、教育の内容はたかが知れていたようだけれど)を受けるのは普通の事だったわ。
彼女の場合は、実家が持参金を用意できないので、結婚は期待できず、一生を修道院で過ごすことになるはずだったわ。
修道院で、彼女はルソーやヴォルテール、コルネイユ、そしてプルタルコスの「対比列伝(英雄伝)」といった書物を読む、物静かな女性であったと言われている。
けれど、革命によって修道院教団が廃止されてしまう。
これによって、彼女の生活していた修道院も閉鎖されてしまうわ。
10年間を修道院で過ごし、しかも今後も修道院を出るつもりのなかった彼女は、突然変化の大きな革命の時代に放り出されてしまうわ。
一旦は生家に戻ったものの、1年ほどで家を出てカーンの親戚の夫人の館に下宿するようになるわ。
修道院を出てからのシャルロット・コルデ
そうして彼女はカーンの街で、革命に関するパンフレットを読み漁っていったわ。
今起こっている「革命」とは何なのか、彼女なりに見定めようとしていたのかしらね。
そうして暮らすうちに、彼女は革命を過激に推進する山岳派を嫌い、穏健派のジロンド派を支持するようになっていくわ。
山岳派のトップは有名なロベスピエール、ダントン、そしてマラーね。
カーンという都市は、パリで山岳派に敗れて逃れてきたジロンド派の最大拠点となっている街だったの。
彼女はジロンド派の議員とも接触していたわ。
直接会話するというよりは、部屋の隅でひっそりと話を聞いているようなタイプだったそうよ。
彼女の気質は、基本的には、
- 女は前に出ずに、出しゃばらない
- ボンヤリ者で、夢想家、現実感覚に乏しい
- 自分の中で決まったことは覆らず、変に意志が強い
こういった、自分の中で閉じてしまった世界観の持ち主だったようね。
そうして過ごすうちに、彼女の中でマラーのイメージが「血に飢えた怪物」として固まっていったのね。
「彼がいなければ、フランスは平和になるのだ!」
と、なったのね。
これはもちろん、彼女の中でだけなのだけれど・・・
つまり、思い込みね。
パリに着いてからのシャルロット・コルデ
いよいよ、その思い込みを実行するべくパリへ向かう彼女。
パリでは、彼女の人間性の幼稚さが爆発するわ!
彼女は1793年7月9日の午後にカーンを出発したわ。
二日間の乗合馬車の旅ね。
そして7月11日の正午少し前にパリに着いて、馬車終点の案内所でホテルを紹介してもらうわ。
彼女はそこで5日間の予定で部屋を借りたの。
まだ寝るのには早かったので、彼女はパリの街へ繰り出していくわ。
そして、彼女はイタリアに亡命している友人が年金を受け取れずに困っていることを相談するために、デュペレと言う国会議員と接触するわ。
彼女にとっては「大仕事のついで」くらいの認識だったかもしれないけれど、この一連の接触でデュペレは決定的に立場を悪くして、マラー暗殺の容疑で処刑されるわ。
彼女の幼稚なところがココで顕在化してくるわ。
周囲に迷惑をかける可能性と言うコトに対する嗅覚が、彼女は決定的に死んでいたのよ。
彼女の行動のいたるところに、こういう迂闊さ、幼稚さが見え隠れするわ。
さて、ここまでの外出で、彼女はマラーに関して2つの情報を得るの。
一つは、マラーはパリ市民から愛されていること。
そして二つ目は、マラーが病気のために国会に出ていないことよ。
二つ目の事実は彼女にとって重要な事だったわ。
国会の議場で「圧政者に天誅を加える」という壮大な英雄のような計画を修正しなければならなくなったわ。
この「マラーが病気のために国会に出ていない」ってコトもね・・・
カーンにいても分かる事だったと思うのよ・・・
こういうトコロよ・・・
さて、7月13日の朝、彼女はパレ-ロワイヤルの中庭に面したアーケード下の刃物商店で、細身の料理用包丁を購入するわ。
そして辻馬車に乗ってマラーの自宅に向かうわ。
マラーの住所が分からなかったから、辻馬車の馭者に聞いたそうよ。
馭者も知らなかったらしく、誰かに聞いてきてくれたそうよ。
このタイミングでのマラー宅訪問は、門前払いを食らったの。
その後、一度ホテルに帰ってマラーに面会したい旨の手紙を書いて、返信をまったみたい。
この当時、パリ市内であれば、当日配送してくれるAmazonみたいな配送システムがあったの。
でも、彼女は自分の滞在先を記載し忘れた。
当然、返事は来ないわね。
来ない返事を待ちながら、彼女は鬘師を呼んで、髪をセットし直してるわ。
夕方、彼女は2回目の手紙を書いて、それを持ってマラー宅を訪れるわ。
再び門前払いを食らいそうになったところを、マラー本人が招き入れてしまったの。
そうして、この絵のような出来事となったわ。
参照:wikipedia
使った包丁はこの日の朝買ったものね。
刃は偶然、マラーの肋骨の間を通り、肺動脈を切断したわ。
こうして彼女はことを成し遂げてしまい、その場で捕縛されたわ。
まとめ
まとめとして、彼女が捕まった後のことを話して終わりにしましょう。
彼女が捕まった後、彼女と少しでも関りのあった人々は、暗殺に関与したとして次々と逮捕・処刑されていったわ。
実際は全く関与していなかったのだけれど、様々な思惑が絡んで、そういう結果となってしまったのね。
彼女は自分が成し遂げた偉業(笑)の後に、何が起こるのか、全く考えていないような節があったわ。
彼女は獄中で、裁判の時に被るための白い帽子を新しく作ったのよ。
その間に、関係のない人々は謂れのない罪を着せられ、疑いの目を向けられていったわ。
そして、獄中で彼女は何と「自分の肖像画を残してほしい」とまで要求していたわ。
この願いは処刑の直前に、偶然叶うのだけれども、その時も細かな修正を要求しているの。
それが、この絵ね。
獄中で作った白い帽子も描かれているわね。
参照:wikipedia
自分の周囲にどんな迷惑が被っているのか思い至りもせずに自分の終わりを美しく演出することだけを考えているようで、モヤモヤするわね。
裁判で彼女は有罪が確定、その日のうちにギロチンにかけられることになるわ。
余談だけれど、この裁判の時に弁護士として指名されたのは、この裁判の3か月後にマリー・アントワネットの弁護士も務めることになるショヴォー・ラガルドよ。
彼は、たまたまその場に居合わせたがために、指名されたの。
困るわ~、こういうの。
彼女がギロチンにかけられた後、彼女の遺体は解剖に回されたわ。
何故か?
「彼女が乙女であるか確認するため」よ。
これによって、彼女が乙女でなかった場合、
「シャルロット・コルデーという女はふしだらな女だった。」
としたかったのね。
フランス革命は「人間および市民の権利の宣言(人権宣言)」が有名だけれど、この「人間および市民」の中に女性は含まれていなかったという事ね。
残念だわ。
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参考書籍
- 足立正勝. マラーを殺した女 暗殺の天使 シャルロット・コルデ. 中央公論社. 1996
- 藤本ひとみ. 悪女が生まれる時. 中央公論新社. 2001
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